取組み内容

宇田研究室では、公害・薬害・食品公害の被害をいかに軽減できるのかという視点から社会学の研究を行っています。2023年より3年次ゼミ生17名と森永ヒ素ミルク中毒事件に関する調査を開始しました。この事件は、1955年に森永乳業株式会社が製造した粉ミルクにヒ素が混入し、これを飲んだ西日本地域一帯の乳幼児がヒ素中毒になったというものです。事件当時、少なくとも130名が亡くなり、2019年現在1万3,451人が被害者と認定されています。今も認定を申請する方がいます。
事件の翌年には「ほとんど後遺症の心配はない」とされましたが、1969年に医学者や保健師らの追跡調査によって健康被害が続いていることが明らかになりました。これは「14年目の訪問」としてよく知られていますが、その後はどうなったのでしょうか。
当時赤ちゃんだった被害者でご存命の方は、2023年現在、60代後半です。これまでどのような生活を送ってこられたのか。ほかの食品公害と比べて手厚い補償に見えるが、実際にそうなのか。なぜ多くの公害とは異なり、医学的基準によらない認定が行われているのか。多くの知りたいことがあります。
2023年は岡山県で当事者・関係者の方々を訪ねました。調査にご協力くださった皆様に深く感謝申し上げます。

被害者家族のご自宅に保管された資料(撮影:樋口真斗)
聞き取りの様子(撮影:樋口真斗)
岡山県保健医療部生活衛生課に伺う(撮影:渡邉光貴)