取組み内容

博物館は商学部の教員と連携し、商品の開発・流通・生産における新たな価値創造の観点から伝統的工芸品産業の調査研究に取り組み、その成果を企画展・常設展や特別講義を通じて、在学生はもとより、広く一般社会に発信しています。

天然原料を人の手で加工する伝統的工芸品は、作るのに手間と時間がかかるため量産することができません。商品としては高価ですが、近年のメディア環境の発展によって、使い手(消費者)は作り手個人(生産者)のパーソナリティに共感することが可能となり、また、少量多品種生産が消費者の趣向に沿った商品の選択を可能にすることから、長く愛着をもって使用する消費財となっていることが特徴です。このことは、大量生産・大量廃棄というモデルの見直しを促し、資源の抑制的・循環的利用によって自然環境の保全につながる消費・生産形態を示唆しています。また、道具に対する「愛情」「慈しみ」の念が育まれることにより、人間生活のモラル向上に資することができます。

①博物館常設展の「商品」展示。商学部教員が1951年に設立した商品研究所資料室(1957年に商品陳列館として公開)をルーツとし、1950年代の末から陶磁器・漆器・染織品などの伝統的工芸品の調査・収集を開始、展示公開している。
②「伝統的工芸品の経営とマーケティング・プロジェクト」では、数ある工芸品のジャンルの内、在学生が比較的身近に感じることのできる陶磁器を対象としている。
③例年、大学院商学研究科との共催、商学部の後援により陶磁器産地から生産・流通・産地振興の関係者を招いての公開特別講義を開催している(2023年度開催時のポスター)。
④調査研究の成果は企画展で社会に発信する。2021年4月には2016~2018年度に実施した山陰地方の陶器産業調査の成果として、館蔵資料の再評価や新規収集資料による最新動向を紹介する(2020年度開催予定を1年延期)。