取組み内容

植物は人類が地球上に現れる遥か昔から地球に存在し、今もなお繫栄し続けています。しかし驚くことに八千種類を超える植物病原菌が存在する中で、植物に深刻な病害を与える病原菌は一握りしかないのです。植物には病原菌を含む微生物を非自己として認識し排除する自己防衛力(すなわち植物免疫)を備えていることがわかります。我々の研究室では、植物免疫のメカニズムの解明を目指しており、私たちが発見したイネの細胞膜に局在する受容体は、病原菌から植物自身を守る防御応答に関与するだけでなく、植物に有用な共生微生物を体内に取り込み、植物の養分の吸収効率を高めることにも関与していることが明らかになりました。この植物の持つ「病原菌への攻撃」と「共生菌を招き入れる」という相反する応答のメカニズムを詳細に研究することは、植物の自己免疫力を高めた病気に強い作物の作出、それにともなう農薬の使用削減による地球環境負荷の軽減を可能にします。また、植物と有用な共生微生物との共生研究は、貧栄養土壌下における生育が可能な植物の開発につながり、これらの研究が持続的可能な農業の促進および食糧問題の解決に貢献することを期待しています。