取組み内容
公務は女性が多く勤務している職場です。公立学校の教員、保健師、保育士、看護師、社会福祉専門職というような職種には女性が多いということもあり、地方自治体を中心に多くの女性が子ども、保健、社会福祉分野の政策に携わっています。しかし、職場を率いる役割を担う管理職(課長級以上)となると、少ないのが現状です。管理職の候補者としての係長級も女性のなり手が伸び悩んでいます。私は、公務員制度の研究を行っており、なぜ女性の管理職が少ないのかについて考えてきました。まずは、現場主義を好み、相談業務や対人サービスにはやりがいを感じられても、管理職となると業務を推進する責任や部下を指導する責任が生じ、自信が持てないことや負担感が大きいことがあげられます。現場主義も素晴らしい考え方ですが、管理職として政策への意思決定に参画することもまたやりがいのあることです。自信という点では、蓄積された業務経験が自信を作り出すのと思われますが、女性職員の中には出産、子育てによる休業で経験年数が男性職員と比較して相対的に短いことや、経験している業務の幅も小さいことも関係しています。また、管理職となれば、議会や他部署との交渉も必要で、時間に制約がある場合、負担もさらに強く感じられます。公務員としての経験を次の世代に継承することや、部下の指導を行っていくことで、女性職員の活躍の幅は広がるとも思われ、制約を解消していくことや、負担感を取り除いていく施策が徐々に進められています。これらの施策で管理職が増えていくのか、今後も注視していきたいです。
政治分野では、もともと女性議員は少なく、女性議員がゼロという地方議会もあります。議員は住民の代表者です。住民には様々な属性(世代、地域、当事者等)があり、議会内にはそれぞれの属性の代表性ができるだけある方が良いと考えられます。議員になるためには性別を問わず、活動資金や支援者(支援団体)が必要になります。女性にとってはそうした支援が得られにくいことや、家族の理解が得られにくいことなどが制約として考えられています。私は「地方議会活性化シンポジウム2025」(11月13日)にコメンテーターとして参加し、地域活動をしている女性に少しでも議員活動に関心を持ってもらうこと、議員が政策をどのように議論しているのかのプロセスを住民に伝えていくことなどで、女性議員のなり手を開拓していく必要があると発言しました。議員と公務員はともに政策を通じて地域づくりに貢献しており、こうした場に女性の参画が増えると、「これまでとは違うな」と住民の意識も変化して、地域の多様な参画を促していくことを期待しています。

