取組み内容

インド西ベンガル州ジャーグラム県アグイボニ村。深い森に囲まれたこの村では、部族民が豊かな自然の中で伝統と文化を守りながら生活を営んでいます。

地域の独自性を支える一端を担うのは、「パンチャーヤト制度」という地方自治制度です。同制度では、インドの村落部に設置されたグラム・パンチャーヤトという自治体が、村の開発にかんする意思決定の主導権を握っています。意思決定のプロセスの中で特に重視されるのは、村民会議での話し合いです。村落住民は、この会議に直接参加する機会をインド憲法によって保障されています。住民自身が開発スキームの方針や予算配分の決定過程に参画することで、住民の意向に沿った開発に重点が置かれます。

一方、中央・州政府から配分される開発予算は必ずしも十分ではありません。村落住民へのインタビュー調査からは、道路や排水設備の整備、太陽光パネル付き街灯の設置、公共交通や幼稚園の不足など、生活に密接にかかわる開発課題が山積していることが分かります。村落住民は、限られた予算の中で優先順位を付けて必要なスキームを実行するとともに、さまざまな工夫と助け合いで日常的な困難を乗り越えています。

村へはゾウの森を通り抜けて行く。近くの町からオートリキシャで約1時間の道のり。
森を抜けると広大な田畑が広がる。村落住民の多くは機械に頼らずに農業を営んでいる。
グラム・パンチャーヤトの門。村の中心地にあり、住民は気軽に入ることができる。
雨季の冠水の様子。気候変動の影響も大きい。
グラム・パンチャーヤトが設置した太陽光パネル付き街灯。ゾウの生息地と隣り合わせなので、夜間の外出は大変危険だそう。安全のために増設が求められている。