取組み内容

“The city seen from the Queensboro Bridge is always the city seen for the first time, in its first wild promise of all the mystery and the beauty of the world.”
(F. スコット・フィッツジェラルドの小説『グレート・ギャッツビー』からの引用。)

 ニューヨークの「姿」を考えることは、その変化を文学作品や映画、写真などの表象を通して読み解くことである。作品が書かれた当時の光景を見ることは叶わないが、2025年現在もクイーンズボロ橋はマンハッタンとクイーンズをつないでおり、上記引用はクイーンズボロ橋を渡ろうとする読者にいつでも、ニックが見た光景を想像させる。文学作品とは、こうしたフィクションと現実の境界を突き破る想像力を刺激し、その想像力は近年においてはSDGsが目指す社会の在り方にも必要不可欠である。
 例えば、作家スティーヴン・クレインは『街の女マギー』(1893)を当時の貧困地区であるバワリーに設定した。マギーは家を追い出され最後に命を落とすが、読者がマギーに向ける想像力は、この地区における経済的/精神的貧困とは何かという問いにつながるだろう。それに答えるように、作中に登場する暗く不衛生な“tenement”は−実際に多くの移民や貧困層の住処となったが−現在その一部がミュージアムとして公開され、教育的な目的を担っている。

クイーンズボロ橋からマンハッタンに到着
チャタム・スクエア近くの通り
ブルックリン橋