取組み内容

日本では最近,いわゆる令和の米騒動により,コメの価格高騰と供給不安が深刻化しています.その背景には,猛暑などの気候変動や,長年の減反政策・農業人口の減少による生産力低下等が挙げられます.この問題の解決に向けて,私たちの研究室では,栽培イネの多年生性質を利用して,一度収穫したイネから再び籾を収穫する再生二期作栽培を利用して米の生産性を向上させる研究を行っています。再生二期作栽培では,収穫後に水田に残る刈り株から発生する再生茎の生育を旺盛にできるのかが重要となります.そのため,大学内の試験圃場や連携先の農家水田において,最適品種の選定,再生茎の生育メカニズムの解明および農家が実施可能な栽培技術の開発に取り組んでいます.また,コメ消費が多く,すでに再生二期作栽培に取り組んでいるインドネシアにおいても,現地の大学と協同しながら,さらなる生産性向上に向けて技術開発を行っています.研究成果を利用して,日本国内においては米の安定供給や生産コスト削減,世界においては米による食糧問題の解決にむけて貢献します.

再生茎の生育の様子
農家水田での栽培試験.手前が試験区で奥が農家水田.手前の試験区が明らかに米が稔っている.
インドネシアの再生二期作栽培の水田