取組み内容

筆者の研究領域は、「戦略論」と「国家・市場・個人間のパワーシフト」です。それぞれのプレーヤーは、このパワーシフトに対しての戦略的対応を能動的に進めています。ゼミにおいて、すっかり市民権を得たSDGsというコンセプトを戦略とパワーシフトの観点から考察しています。

 SDGsのルーツは、持続可能な社会の実現を目指すイニシアチブである「国連グローバル・コンパクト」を1999年に提唱し、2000年に採択された「2015年までに達成すべき8つの国際目標を掲げ、開発途上国の課題解決の推進を唄った「ミレニアム開発目標」の策定を主導したガーナ出身のアナン国連事務総長です。これが、2015年の国連サミットで採択された「2030年までに達成すべき17の国際目標」を定めたSDGsに発展します。

 これは、当時の南北対立の構図を各国の関与(ENGAGEMENT)へと転換し、メタ化したといえるアナンが仕組んだ優れたチェンジストラテジーであると言えるかと思います。  しかし、SDGの今後は、国家のパワーが低下し、多様化が進む社会のなかでdiverging livesが進む中で、国家の枠を超えた個人の意識としての個人間でのconverging concernsになりうるかであると思います。これも国家と個人の間のパワーシフトの一環であると思います。