取組み内容

 私は、経済活動における男女の格差、いわゆるジェンダー経済格差について、経済学の視点から研究しています。なぜ今もなお、女性の経済的地位は男性より低いのでしょうか。その背景には、「男性は仕事、女性は家庭」といった伝統的な性別役割分担意識があり、これが女性の経済活動を阻む要因の一つであることが、世界各国の研究から明らかになっています。

 ここでは、私と米国の経済学者との共同研究の成果を紹介しましょう。この研究は、今年、国際学術雑誌に掲載されました。

 かつて日本では、中学校の「技術・家庭」は男女別々に教えられていましたが、1989年の学習指導要領改訂により、男女が一緒に学ぶ「共修」へと変更されました。興味深いことに、共修世代の男性は、成人後に家事や育児への参加が増え、女性は正規雇用の割合や年収が上昇するなど、ジェンダー平等の進展が確認されました。この結果は、学校教育において性別による区別をしないことが固定観念を弱め、将来の行動に持続的な影響を及ぼすことを示しています。

 学校教育におけるジェンダー平等の推進は、伝統的な性別役割分担意識の解消につながり、ジェンダー経済格差の縮小、そしてSDGsの達成に欠かせない取組みなのです。

論文の解説記事はこちら。
https://www.meiji.ac.jp/koho/press/2023/mkmht000000zd9iq.html

ジェンダー経済格差の縮小のための情報の発信に取り組んでいます。写真は、駐日EU代表部主催、国際女性デー記念セミナーへの登壇。
©Yuichi Mori
ゼミナール活動の一コマ。男女共学の特長を活かし、ともに学び、課題に取組むことで、性別に関係なく全ての学生がともに成長できる環境で教育を行っています。
紹介した論文「中学校『技術・家庭』の男女共修化には、性別役割分業を弱める長期的な効果 ”Long-Term Consequences of Teaching Gender Roles: Evidence from Desegregating Industrial Arts and Home Economics in Japan”」が掲載された国際学術雑誌。